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外出自粛と社会的孤立:新型コロナウイルス感染症時代の対処法

(本記事は、ノボ ノルディスク グローバルが作成した記事の翻訳版です。本記事における肥満は、海外の肥満の考えを述べています。)

新型コロナウイルス感染症 (COVID-19) の大流行により、多くの人々が外出自粛により自宅で過ごすことを余儀なくされてきました。これまでの日常と異なる生活は誰にとっても困難なことですが、なかでも肥満を抱える方々は、世界的な危機の中でいっそう体重管理の難しさを感じつつ生活されているのではないでしょうか。

その生活を少しだけ楽にし、その対処をサポートするため、新型コロナウイルス感染症に対する人々の感情的な反応と、状況への健康的な対処法をマイケル ヴァリス博士に解説いただきました。ヴァリス博士は、ダルハウジー大学 (カナダ) 家庭医療学准教授を務める健康心理学者です。

「不安や怖れを感じるというのは、当たり前のことなのです。」

-マイケル ヴァリス博士 (健康心理学者、ダルハウジー大学 (カナダ) 家庭医療学准教授)

本記事は、疾患啓発を目的とした一般的な情報を記載したものであり、医学的な助言として解釈されるべきではありません。新型コロナウイルス感染症の症状が見られる場合、または質問や疑問、不安がある場合には、かかりつけ医に連絡あるいは医療機関で受診した上で、自治体の指示に必ず従ってください。

多くの人々が、1日中自宅に籠る生活をしなければならない状況に悩み、不安や恐怖を感じています。なぜこのような反応になるのでしょうか?

ヴァリス博士:一般的に恐怖は暗闇の中で増幅されます。つまり、脅威や不確実性、「もし、...だったら」という考えにとらわれたとき、不安や心配、恐怖、パニックといった数多くの感情が生じるのは自然な反応なのです。新型コロナウイルス感染症は、非常に大きな脅威と先行きの不透明感をもたらし、不安や怖れを感じるのは、当たり前のことです。ただし、それと同時に感情をコントロールする必要にも迫られます。低レベルや中レベルの不安であれば、自分を奮い立たせる要因になることもありますが、非常に高レベルの不安は、人々を打ちのめし、その力を奪うものとなりうるのです。

恐怖に対する最も自然な反応は、恐怖から逃れるための「逃避」です。原始時代、捕食動物から逃げるのにこの反応は非常に役立つものでした。では、新型コロナウイルス感染症のように、逃れることができないストレスに直面したときは、どうすればいいのでしょうか?自分を周囲から隔離することで、ウイルスそのものは回避できますが、ウイルスに対する恐怖は回避できません。そのような時、私たちは生きるための方法を模索し、そのために役立つ行動を取るようになります。その行動とは、ほとんどの人々にとって食べることです。食べることで気分が落ち着き前向きになり、あるいは気分が紛れ苦痛を感じなくなります。あなたは、ストレスを感じた時、食べ物に手が伸びる傾向はありませんか?
もしそうでしたら、ストレスを管理し、やけ食いをコントロールするのに役立つ対処法があります。

Man sitting on his couch eating chips from a bowl.

「その行動とは、ほとんどの人々にとって食べることです。食べることで気分が落ち着き前向きになり、あるいは気分が紛れ苦痛を感じなくなります。」

-マイケル ヴァリス博士 (健康心理学者、ダルハウジー大学 (カナダ) 家庭医療学准教授)

食べ物は快感として経験されるため、やけ食い (および退屈紛れに食べること) は、ストレスの対処方法のひとつであることは間違いありません。それは健全な行動ではありませんが理にかなっているのです。現在置かれているこのような状況では、食べることにも役割があるのだということを理解していただきたいと思います。そして自分に問いかけてみましょう。ストレス解消法として食べることをやめるには、どうすればいいのか?

新型コロナウイルス感染症が人々にどのような影響を与えるかは理解できました。では、肝心な質問ですが、肥満を抱える人々が過度のストレスに対処するにはどうしたら良いのでしょうか。

ヴァリス博士: 理解するということは重要な第一歩です。それでは、肥満を抱える人々の対処方法についてお話することにしましょう。肥満を抱える人々が過度のストレスに対処するには、いくつかのステップが必要となります。

ステップ1:感情を表現しましょう

なんらかの脅威に出会ったとき、恐怖を感じるのは当たり前のことです。人間は感情的な生き物であり、それぞれの経験に基づいてプラスの感情もマイナスの感情も生じます。脅威からは恐怖が生まれ、喪失感からは悲しみや絶望が生まれ、侵入されれば怒りが生まれます。

一般に、このような感情への対処には、感情表現と社会的なつながりが必要となります。不安や心配を感じる場合には、その感情を抑える必要はありません。感情を表現する方法 (話す、書く、歌う、踊るなど) を見つければ、感情を解放することができます。感情とは波のようなものです。感情が押し寄せても、それを認めればやがて去っていきます。当たり前の感情を無視し、抑えようとすれば、かえって状況は悪化します。

「自分に問いかけてみましょう。ストレス解消法として食べることをやめるには、どうすればいいのか?」

-マイケル ヴァリス博士 (健康心理学者、ダルハウジー大学 (カナダ) 家庭医療学准教授)

ステップ2:食事以外のストレス対処法を実践しましょう

このステップでは、実際にストレスの対処方法を食事以外のものに置き換えてみます。自身にとって、やけ食いが恐怖や不安、退屈への対処法であることがわかったら、食べること以外の対処について考えてみましょう。幸運なことに、食事に代わるストレス対処法は数多くあります。しかし、どの対処法も学習の必要があり、すぐに効果を発揮するものではありません。自分にとって効果的なやり方を決める前に、まずはその対処法を何度も (20回~25回ほど) 実践してみることをお勧めします。一般的な対処法は、次の5つにまとめることができます

  1. 心を落ち着かせる身体活動:体はストレスに反応し、行動する準備を整えます。すなわち、ストレスホルモンが増加すると、筋肉が緊張し、呼吸が速くなります。これらはすべて行動を起こす準備をしているのです。心を落ち着かせる方法を学ぶことは、ストレス管理に大いに役立ちます。心を落ち着かせる方法としては、深呼吸や筋肉の緊張を緩めること、精神を鎮めることなどがあげられます。ヨガや太極拳、瞑想、祈り、音楽鑑賞、描画、猫や犬との触れ合い、植物の世話などは多くの人に効果的です。創造力を発揮し、自身にとって効果的な方法を見つけるまで、さまざまな活動を試してみましょう。もちろん、実践する際には、外出規制等の各自治体の指針に従って行動してください。
  2. 心を開放する身体活動: 体を動かすことがストレス解消につながることもわかっています。歩く、走る、跳ぶ、自転車に乗る、踊るといった行動を屋内で行うことができれば、多くの人に効果を発揮するでしょう。狭いスペースで体のエネルギーを発散する方法を見つけるには、さまざまな工夫が必要となるかもしれません。この対処法の良さは、どんな行動でも全てが役に立つということです。現在はオンラインやバーチャルでのエクササイズも数多く行われています。
  3. 感情表現:先に述べたように、人間とは感情的な存在です。したがって感情を経験し、表現し、受け入れる方法を見つけることは非常に健全なことです。
  4. 社会的なつながり:人とのつながりは、ストレスを解消するのに最適な方法です。コロナ禍において、他人に対する思いやりに満ちたさまざまな行動が、人々をどれほど元気づけるかということを日々目にします。たとえ物理的に離れていても、インターネットを通じて、また友人や家族に電話することで、社会的なつながりを保つことができるのです。
  5. 受け入れること:「今日が全て」という言葉を耳にしたことがあると思います。過去は既に過ぎ去り、私たちは過去からは学ぶことしかできません。そして未来はまだ訪れていません。私たちは今、この瞬間に存在しています。自分の現在の状態を受け入れ、関心を持って意識すれば、それが力となるでしょう。自分の信じる基本的な価値観について考える時、マインドフルネス (今この瞬間に深く意識を向けること) が向上します。外出自粛をしている私たちにとって、その行動は自分のためだけではなく、コミュニティや世界全体のために行っているのです。この価値観こそが私たちの道標となるでしょう。
Calm looking ocean with two small waves.

「感情とは波のようなものです。感情が押し寄せても、それを認めればやがて去っていきます。」

-マイケル ヴァリス博士 (健康心理学者、ダルハウジー大学 (カナダ) 家庭医療学准教授)

ステップ3:食事プランを立てましょう

新型コロナウイルス感染症は、私たちの世界を一変させました。多くの人々にとって、さまざまな状況が急激に変化しました。決められた時間が減ったことで、台所に立つ時間がこれまで以上に増えました。食べ物を遠ざけること、特に空腹時以外に食べてしまう食べ物を遠ざけることが必要です。

毎日の食事プラン (食事3回、軽食1~2回など) を設定し、それを継続することで健康を保つことができます。食事をコントロールする方法をいくつかご紹介します。

  • 決められた時間に食事をし、それ以外の時間には食べ物を口にしないようにする
  • 食事をする場所を一か所に決める
  • 食事をする際には席に着き、「ながら食べ」をしない
  • 自分が食べる分を取り分けたら、残りの食べ物は片付けてしまい、コンロやカウンターの上に出しっぱなしにしない
  • 食べ物を小分けにして保存し、一度に大量の食べ物 (特に誘惑の多い食べ物) に手を伸ばせないようにする
  • 誘惑の大きい食べ物を家に持ち込まないようにする

新型コロナウイルス感染症に関するより詳しい情報は、厚生労働省のウェブサイトをご覧ください。

 

(本記事は、ノボ ノルディスク グローバルが作成した記事の翻訳版です。本記事における肥満は、海外の肥満の考えを述べています。日本と海外の肥満の考え方の違いについては、「『肥満』と『肥満症』の違いとは?」をご覧ください。)


 

References
  • Marks, I. M. (1987). Fears, phobias, and rituals: Panic, anxiety, and their disorders. Oxford University Press.
  • Berthoud, H.-R., Münzberg, H., & Morrison, C. D. (2017). Blaming the Brain for Obesity: Integration of Hedonic and Homeostatic Mechanisms. Gastroenterology, 152(7), 1728–1738.
  • Beck, A. T. (2019). A 60-Year Evolution of Cognitive Theory and Therapy. Perspectives on Psychological Science: A Journal of the Association for Psychological Science, 14(1), 16–20.
  • Hutto, D. D., Robertson, I., & Kirchhoff, M. D. (2018). A New, Better BET: Rescuing and Revising Basic Emotion Theory. Frontiers in Psychology, 9.
  • Lillis, J., & Kendra, K. E. (2014). Acceptance and Commitment Therapy for weight control: Model, evidence, and future directions. Journal of Contextual Behavioral Science, 3(1), 1–7.
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  • Varni, J. W., & Banis, H. T. M. A. (1985). Behavior Therapy Techniques Applied to Eating, Exercise, and Diet Modification in Childhood Obesity.  [Review]. Journal of Developmental, 6(6), 367–372.]

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