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やせることよりも、健康でいたい。 専門家の力を借りて、自分らしく生きる

人に頼ることに抵抗がある人もいるかもしれませんが、専門家の力を借りて管理してもらうほうが合理的ですし、心強いです。毎月の通院は面倒ですが、通院のついでに買い物するなど、自分なりの楽しみを見つけながらモチベーションを維持しています。

―N・Sさん

高校時代の自己流ダイエットで、体重100キロから70キロに

もともと体は大きいほうでしたが、本格的に体重が増え始めたのは小学2年から。6歳上の兄が中学生になって、我が家の食卓に並ぶ料理の品数や量がグッと増えたんです。同じ時期に、父が休日に僕と兄をコンビニエンスストアに連れて行って、好きなものを買ってくれていたんですね。

当時、父はかなり忙しかったので、一緒に遊ぶ時間が取れない分の埋め合わせだったのかもしれません。ですから、家にはお菓子やアイスが常備されている状態。子どもなので我慢せず、あればあるだけ食べているうちに、体重はどんどん増えていきました。

高校生になった頃は体重が100キロを超えていましたが、明るい性格で友達も多かったので、体型をからかわれたり、いじめられたりすることはなかったです。やせていたほうがいいんだろうなと思うこともありましたし、クラスメイトとケンカになって「デブ」と言われると傷つきもしましたが、自分も負けん気は強いほうなので言い返していましたから、深刻に思い悩むほどではありませんでした

実は、高校1年の終わり頃、初めてダイエットに挑戦したんです。仲の良かった従姉に「運動したほうがいいんじゃない?」と言われたのがきっかけでした。その従姉が1日の食事のうち1〜2食を低カロリーで栄養バランスの良い食品に置き換える、いわゆる「置き換えダイエット」をやっていたので、それを真似してみました。それに加えて毎日スポーツジムで水中ウオーキングを続けた結果、半年ほどで体重は70キロに減りました。学校では休み時間によく友達とサッカーをしていたのですが、体が軽くなって動きがスムーズになりましたね。オーバーヘッドキックも決められて、すごく気分が良かったです。

ただ、食事の置き換えは半年ほどでやめてしまい、ジム通いも徐々にペースダウン。水中ウオーキングに飽きてマシンをやり始めたのですが、僕には向いていなかったですね。高校を卒業した頃には85キロに、専門学校を卒業して働き始めた時点で90キロ台にまで戻っていました。

20代後半から急に体調が変化。原因がわからず不安な日々

初めてダイエットしてから今まで、20キロ以上体重が落ちたことは何度もあります。自分でも太り過ぎだという認識はありましたから、ふと「そろそろ減量しようか」と思い立ち、食事の回数を減らしたり運動を始めたりするものの、半年くらいで飽きてしまうんです。短期間なら自分を追い込んで頑張れるのですが、続かなくてリバウンドすることを繰り返していました。親しい友人から、「自己流じゃなくて医療機関でちゃんとしたダイエットをしたほうがいいよ」と勧められても、自分なりのやり方で結果は出ていましたから、正直あまりピンとこなかったです。「減量したほうがいいよ」と何度も言われると、「今はやらない理由があるだけ。タイミングがくれば自分でやるから、放っておいてくれ」と思っていました。

肥満症の治療を始めるきっかけになったのは、体調の変化からメンタルクリニックを受診したことでした。

20代後半に入った頃、突然、真夏にもかかわらず両足の膝から下が急激に冷えるようになったのです。足湯をするなど自分なりにケアしてみたものの、冷えはまったくおさまりません。病院で検査を受けても特に異常は見つからず、「おかしいな」と不安に思っていましたが、数ヵ月後に症状は自然におさまっていました。

30代に入ると、今度はふらつきやめまいが出るように。ひどいときには体が一方向に引っ張られるような感覚がしたり、意識がぼんやりしてその場に倒れこみそうになったりすることもありました。人と話している最中に気が遠くなり、失神しそうになったときは、「このまま死んでしまうのでは」と本気で思うほど。病院にも行きましたが、やはり検査では異常は見つからず、医師からは「体重を落としたほうがいい」「よく眠るように」といった一般的なアドバイスがあるだけで、この時期は本当につらかったです。

そのうちに食事が取れなくなり、眠れなくなり、突然涙が出てくるような状態になって、メンタルクリニックを受診。しばらく通院を続ける中で、担当医から「一度内科でも診てもらってはどうですか?」と、近所の内科クリニックを紹介されました。

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高血圧・睡眠時無呼吸症候群と並行して、肥満症の治療をスタート


内科クリニックで血圧測定や血液検査などの基本的な検査を受けたところ、血圧が200mmHgを超えていました。「これはまずい、怖い」と思いましたし、医師にも「このままでは命に関わります」とはっきり言われ、すぐに降圧剤での治療が始まりました。幸い、血圧はすぐに下がり始めましたが、検査で睡眠時無呼吸症候群が見つかりました。自覚はなかったので驚きましたが、高血圧の原因の1つかもしれないとのことで、こちらも治療を開始。また、BMIも高く、睡眠時無呼吸症候群や高血圧といった肥満に関連する病気があるため、「保険適用で肥満症の治療が受けられますが、興味はありますか?」と提案されました1)。実は、スポーツジムに通いたいと思ってはいたのですが、血圧が高すぎて医師から運動をストップされていたんです。「やせていれば薬もいらなかったのに」という気持ちはありましたが、運動できないのなら薬で体重を落とすことも選択肢の一つだと思い、治療を始めることにしました2)。「減量したほうが血圧は下がりやすいから」という医師の説明にも納得できましたし、薬で体がどう変わるかというワクワク感もあって、抵抗感はなかったです。

1)  肥満症は、BMIが25以上の「肥満」で、2型糖尿病や脂質異常症、高血圧など肥満による11種の健康障害が1つ以上ある
か、健康障害を起こしやすい内臓脂肪蓄積がある場合に診断され、減量による医学的治療の対象になります。(出典:日本肥満学会編:肥満症診療ガイドライン2022, ライフサイエンス出版, 2022, p1-3)

自己管理が難しいなら、専門家の力を借りてもいい


肥満症の治療を始めて半年ほど経ちました。血圧が安定してからはスポーツジムにも通い始め、体重は順調に減っています。もともと洋服が好きで、今まで着ていた洋服をゆったり着られたり、「やせたね」と声をかけられたりするのがうれしいですね。明確な目標体重は決めていませんが、あと10キロくらい落とせたらと思っています。

ただ、僕の中では「やせたい」より「死にたくない」「健康でいたい」という気持ちのほうが強いです。体調が悪いと仕事にも集中できず、何もできなくなる。原因がわからず不調が続いていた頃は、「このまま死んだほうが楽かも」と思ったこともありました。医師に「このままだと命に関わる」と言われて治療を始められたことは、本当に良かったと思います。

人に頼ることに抵抗がある人もいるかもしれませんが、専門家の力を借りて管理してもらうほうが 合理的ですし、心強いです。毎月の通院は面倒ですが、通院のついでに買い物するなど、自分なりの楽しみを見つけながらモチベーションを維持しています。

肥満に悩んでいる人には、一人で抱え込まず医療機関に相談してほしいと伝えたいですね。特に若い人なら、健康面だけでなく、恋愛も含め人間関係にも良い変化があるかもしれません。僕も次の“モテ期”を楽しみに(笑)、治療を続けていきたいと思っています。

*  肥満症の治療の効果には個人差があります。全ての方が同様の結果を示すものではありません。また、治療の選択肢は患者さんの状態によって異なりますので、医師と相談して決定してください。

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