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肥満は「減量すればいい」というものではない

(本記事は、ノボ ノルディスク グローバルが作成した記事の翻訳版です。)

肥満には誤解がつきまとうのが現状です。学校や職場、さらには医療現場でも偏見の対象となっています。肥満治療について見直すためには、「減量とは、健康に対する全体的かつ個別的なアプローチによって得られる成果のうちのひとつにすぎない」ということを理解しなければなりません。それにより、肥満とともに生きる人は、減量に留まらず、健康の管理を重視する生活を送ることができるようになるのです。

肥満治療が減量よりも広い範囲に及ぶ理由とは

肥満は、単なる体重の増加ではありません。肥満とは慢性の再発性疾患であり、例えば高血圧や関節痛、うつ病など、200以上の生理学的、身体的、精神的健康障害のリスクをもたらします。したがって、肥満を適切に治療すれば、その効果は減量以外にも及ぶと考えられています。適切に肥満治療を行えば、減量に加え、肥満に伴う健康障害の治療にも効果を発揮する可能性があるのです。

適切な肥満治療により、肥満に関連する生理学的な健康障害を改善する方法とは

高血圧や高コレステロールのリスクの増加は、肥満に関連する生理学的な健康障害のごく一部の例にすぎません。血圧やコレステロール値が上昇すると、心臓病を発症するリスクが増加する可能性があります。肥満治療では、血圧とコレステロールを正常値に戻すことに重点が置かれます。それにより、心臓病に関連するリスク要因を軽減する効果が得られます。

適切な肥満治療により、肥満に関連する身体的な健康障害を改善する方法とは

肥満によって生じるおそれがある身体的な健康障害の例として、関節の健康障害があげられます。肥満により、変形性関節症(骨の間の軟骨が変形する疾患)を発症するリスクが増加し、関節が硬くなり、痛みを生じることに伴って、運動機能に影響が生じる可能性があります。前述のように、適切な肥満治療では減量だけではなく、関節にかかる力や圧力の軽減も目指します。それにより、肥満とともに生きる人が変形性関節症を発症するリスクを抑え、全般的な健康を改善する効果が得られる可能性があるのです。

適切な肥満治療により、肥満に関連する精神的な健康障害を改善する方法とは

肥満に関連する偏見により、心の健康にマイナスの影響が生じ、うつ病や不安神経症などの疾患を発症するケースが多くみられます。事実、ある研究によれば、肥満とともに生きる若者の場合、うつ病を発症するリスクが40%増加することが報告されています。心の健康に関する問題は、ほとんどが目に見えないものであることから、無視されることがままあります。ただし、総合的な肥満治療では、肥満による身体的影響に留まらず、心の健康や精神衛生にも焦点を当てることにより、肥満管理をサポートする効果を発揮します。

適切な肥満治療では、減量だけを目標として重点的に取り組むのではなく、睡眠の質や気分の改善、自己肯定感などの健康の改善についても観察します。これらの指標は、治療の進み具合を測るベンチマークとして、治療への意欲を高めるものとなると考えられています。このような節目となる目標を達成したことを評価・祝福することにより、健康の改善に向けた取り組みを成し遂げる可能性をさらに高める効果が得られます。適切な肥満治療では、上記のような健康に対する総合的なアプローチを遵守することにより、肥満とともに生きる人が減量を達成し、その状態を維持する取り組みをサポートするだけではなく、肥満に伴う健康リスクを改善する生活へと導く効果が得られるのです。

適切な肥満治療とはどのようなものか

多くの場合、個人に合った適切な肥満治療計画を見つけるためには、医療チームと協力して取り組む必要があります。医療チームには、医師や看護師、食事療法士、心理学者などが参加します。医療チームは互いに協力し、健康目標に基づく現実的な体重管理計画の策定に向けたサポートを提供することができます。肥満とともに生きる人が自身の健康を積極的に管理する上で役立つエビデンスベースの治療をいくつか紹介します。

  • ·栄養アドバイス
  • ·行動療法
  • ·運動
  • ·医学的介入

適切な肥満治療では、正しいツールやサポート、指導を提供することにより、肥満とともに生きる人が、肥満に伴う心理学、身体的、精神的な健康障害を改善する効果が得られます。肥満とともに生きる人や医療従事者、社会全体が、肥満治療を「単なる減量に留まるものではない」と改めて理解することが、肥満とともに生きる人が先入観や偏見の目を向けられることなく、適切な治療を受けるための一歩となるのです。

 

(本記事は、海外での肥満の考えを述べています。日本における肥満および肥満症の定義は異なります。日本と海外の肥満の考え方の違いについては、「 肥満』と『肥満症』の違いとは」をご覧ください。)

参考資料

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