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高血圧の意味とその原因
「Hypertension(高血圧)」という言葉の語源を調べれば、医療従事者が高血圧について説明する際に使用するこの医療用語について、わかりやすく解説することができます。言語学的には、この単語は「以上/上方/超過」を意味する「hyper」と、「緊張」や「負担」を意味する「tension」の2つの部分に分けることができます。高血圧を発症すると、血圧が「健康なレベル」を「超過」し、それにより血管に「負担」が生じます。
一部の癌や全身に血液を運ぶ動脈を狭くする疾患など、突発的な高血圧を引き起こす原因となる疾患があります。この種の高血圧は、他の疾病に続発して生じることから、続発性高血圧(二次性高血圧)と呼ばれます。
しかし、大多数(85~95%)は、高血圧を引き起こすものとしてピンポイントで指摘することができるような明確な原因は存在していません。このような高血圧は通常、長い年月の間に徐々に発症するものであり、一次性高血圧または「本態性」高血圧と呼ばれています。
一次性高血圧を引き起こすものとして、あるひとつの原因を特定することはできません。しかし近年では、複数の研究者により、一次性高血圧の原因のうち、肥満が最大で4分の3を占めていると結論づけています。
肥満と高血圧が互いに影響を与える仕組み
肥満によって高血圧が引き起こされる仕組みは、複数の可能性があると考えられています。
- 体にストレスが生じ、(医学的には交感神経系として知られる)「闘争・逃走」反応を引き起こす可能性
- 血圧を調整する体内のホルモンバランスが変化する可能性
- 血圧を健康な範囲に維持する役割を担う腎臓に負担が生じる可能性
- ほとんど検出できないレベルの炎症が全身に生じ、血管に圧力が加わる可能性
高血圧と肥満は、いずれも単独で心臓病や心臓発作、脳卒中のリスクを高める要因となります。ただし、研究からは、この二つが複合的に生じることにより、そのリスクがさらに高まることが示唆されています。
自分が高血圧かどうかを把握する方法と高血圧に対処する方法
たとえ高血圧が危険なレベルに達している場合であっても、高血圧を抱える人に何らかの症状が見られることはほとんどありません。したがって、肥満、あるいは高血圧に関する他のリスク要因とともに生きる人の場合、少なくとも年1回、医療従事者による血圧測定を受けることがケア全般において重要な要素となります。
ほとんどの国では、かかりつけの医師により血圧の測定ができます。一部の国では、薬局に血圧計が設置されており、薬局内で血圧を測定することができます。
自分が高血圧であるかどうかを把握することは、医療チームと相談しながら症状を管理し、心臓病や心臓発作、脳卒中のリスクを全体的に低減するための対策を講じる上で重要となります。
治療により高血圧が治ることはありませんが、数多くの高血圧用の薬が広く利用されています。また、より健康的な生活習慣(禁煙、運動、バランスの取れた食事など)を取り入れることで、高血圧の予防や改善につなげることができます。
もしご自身や愛する方が体重の管理に悩んでいたとしても、必ず高血圧を発症してしまうわけではありません。しかし、健康維持のためにも、医療従事者のもとで定期的に血圧を測定することが望ましいでしょう。
(本記事は、海外での肥満の考えを述べています。日本における肥満および肥満症の定義は異なります。日本と海外の肥満の考え方の違いについては、「 『肥満』と『肥満症』の違いとは?」をご覧ください。)
参考資料
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