Go to the page content

全国47都道府県調査から見る

肥満の人の減量経験・悩みとは?

監修:
千葉大学大学院 医学研究院 内分泌代謝・血液・老年内科学 教授 / 
日本肥満学会 理事長 横手 幸太郎 先生

肥満や肥満症にはさまざまな要因が関係しているため、減量の達成や維持はたやすいことではありません。実際には、肥満または肥満症の人はどのように自身の体重と向き合っているのでしょうか? 全国47都道府県における調査から、肥満または肥満症の人の減量経験や、減量にまつわる悩みを見てみましょう。

日本では、脂肪組織に脂肪が過剰に蓄積した状態で、体格指数 (BMI*) 25以上が「肥満」と定義されています。日本における肥満の人の割合は年々増加傾向にあり、厚生労働省の調査によると、2019年時点では20歳以上の男性の33.0%、女性の22.3%がBMI 25以上の肥満でした1

肥満であっても高血圧等の健康障害**や内臓脂肪の蓄積がない場合は病気ではありませんが、BMIが25以上の肥満であり、健康障害あるいは内臓脂肪蓄積がある場合、医学的に減量が必要な病気である「肥満症」と診断されます2。しかし、肥満や肥満症には、生物学的要因や社会経済的要因などさまざまな要因が関係しているため3、減量の達成や維持は、多くの肥満や肥満症とともに生きる人々にとってたやすいことではありません。

実際に、肥満または肥満症の人はどのように減量に取り組んでいるのでしょうか? 全国47都道府県における肥満または肥満症の人を対象とした意識調査4から、肥満または肥満症の人の減量経験と、その取り組み内容や減量にまつわる悩みについて、都道府県別ランキングを見てみましょう。

*  BMI = 体重 (kg) ÷ 身長 (m)2
**
 肥満症の診断に必要な健康障害:耐糖能障害 (2型糖尿病・耐糖能異常など)、脂質異常症、高血圧、高尿酸血症・痛風、冠動脈疾患、脳梗塞・一過性脳虚血発作、非アルコール性脂肪性肝疾患、月経異常・女性不妊、閉塞性睡眠時無呼吸症候群・肥満低換気症候群、運動器疾患 (変形性関節症:膝関節・股関節・手指関節、変形性脊椎症)、肥満関連腎臓病

 

全国ランキング~減量経験~

減量経験がある人の割合

日本全国の肥満または肥満症の人のうち、減量の経験がある人は86.4%でした。
都道府県別にランキングにすると、減量経験がある人の割合の1位は沖縄県92.5%、2位は京都府91.5%、3位は岐阜県宮崎県90.5%、47位は富山県80.5%でした。

各都道府県における減量経験がある人の割合

減量方法

減量経験がある人の行った方法は、「間食やおやつを控える」51.5%「食事制限」47.1%「食べ方に気をつける」38.1%「ジムに通う・運動をする」34.3%「普段の生活のなかで、意識して体を動かす」33.0%でした。

今までにしたことがある減量方法 (回答率30%以上 )

減量経験がある人のうち、いずれかの減量方法で成功しなかったり、リバウンドした経験がある人は、94.6%でした。

減量が成功したかどうか

減量の失敗理由

減量がうまくいかなかった理由としては、「ストレスが溜まった」 (42.5%)「面倒になった」 (41.6%)「効果が実感できなかった」 (38.2%)「食事に気をつかうのが嫌になった」 (29.1%) などがありました。

減量がうまくいかなかった理由 ( 回答率20%以上 )

減量がうまくいかないときは

調査の結果から、肥満または肥満症の人の多くは減量を行った経験があり、その方法は食事や運動といった生活習慣の改善が主であったことが分かりました。一方で、減量に取り組んだ人の90%以上が、成功しなかったり、リバウンドした経験があることも明らかになりました。
減量を成功させ、その体重を維持するのは容易なことではありません。肥満・肥満症に至るまでにはさまざまな要因があるため、各個人に合った適切な対策を行うことが重要です。
特に、BMIが25以上で健康障害がある、または内臓脂肪蓄積があるような方は肥満症の可能性があります。医療機関に相談しましょう。肥満症の場合は医学的に減量が必要ですが、脂肪組織に脂肪が過剰に蓄積した状態で、BMIが25以上でも、健康障害がない、またはリスクが低いと考えられる場合は単なる「肥満」に該当し、医学的には減量の必要がありません。日本人ではBMI 22がもっとも病気の少ない体格とされています5。過剰な減量は行わないようにしましょう。特に高齢の方はフレイルなど体力低下を防ぐために、BMI 22~25が推奨されています6
体重についての悩みは自分だけで抱えこまず、医療機関や周囲の人のサポートを得ながら、適切な目標や方法を見つけた上で減量に取り組んでいきましょう。

ナッジ理論を使った科学的な減量方法や、三日坊主でもできる効果的な運動方法もぜひ参考にしてみてください。

第2回 47都道府県対象 肥満と肥満症に関する意識実態調査4

対象: 全国47都道府県の肥満または肥満症の可能性のあるBMI 25以上の男女9,400名
方法: 各都道府県においてBMI 25以上の20~75歳の男女各100名をランダムに抽出し、「肥満」と「肥満症」に対する意識実態調査をインターネットで行った (調査実施日:2022年9月16日~9月26日)。

 

参照資料
  1. 厚生労働省 令和元年 国民健康・栄養調査報告
  2. 日本肥満学会編: 肥満症診療ガイドライン2022, ライフサイエンス出版, 2022, p1-3
  3. 日本肥満学会編: 肥満症診療ガイドライン2022, ライフサイエンス出版, 2022, p3-5
  4. ノボ ノルディスク ファーマ株式会社『47都道府県対象 肥満と肥満症に関する意識実態調査<2022年度>』2022年11月7日
  5. Tokunaga K et al.: Int J Obes 15(1): 1-5, 1991
  6. 日本肥満学会編: 肥満症診療ガイドライン2022, ライフサイエンス出版, 2022, p99-109

関連記事

心理を味方に「ナッジ」で肥満改善
専門的アドバイス   心理学   ライフスタイル | 6 min. read

心理を味方に「ナッジ」で肥満改善

心からしっくりくるダイエット方法って、なかなか見つからないものですよね。行動経済学と公衆衛生を専門にする竹林 正樹 先生に、行動経済学のナッジ理論を使った、実践しやすい4つの科学的ダイエット方法をご提案いただきました。家族など周囲の人が注意すべき点も紹介します。

運動を続けるコツは三日坊主!?プロのフィジカルトレーナーがおうちでできる運動を紹介します
専門的アドバイス   ライフスタイル   食事と運動 | 6 min. read

運動を続けるコツは三日坊主!?プロのフィジカルトレーナーがおうちでできる運動を紹介します

肥満に伴う健康障害の予防のためには、どんなことをしていけばよいのでしょうか。バドミントンのフジカキペア(藤井瑞希選手・垣岩令佳選手)、マラソンの神野大地選手の個人トレーナーとして広く知られているフィジカルトレーナーの中野ジェームズ修一さんに、フィジカル・メンタル両面からのノウハウを教えていただきました。

PromoMats ID: JP24CO00004